住宅ローン金利に0.3%上乗せされる「疾病保証付き」団信のからくり
そんなときにこの「団体信用生命保険」が、残債一括返済という大きな安心感を与えてくれるのですが、保障内容によっては金利が0.3%も上乗せされるのです。
この記事では、この団体信用生命保険含め住宅ローン返済期間の保障に関する情報を集めてみました。
0.3%金利が上がる理由「疾病保証付き団体信用生命保険」にまつわる誤解
団体信用生命保険の保険料は銀行が払ってくれるのでは?
はじめて住宅ローン利用を考える人たちに多く見られるのが、「団体信用生命保険の保険料は銀行が払ってくれるからタダ」という誤解です。
確かに「死亡保障」および「重度障害保障」について団体信用生命保険の保険料がかかることはありません。
しかし、最近の住宅ローンの補償の主流として「三大疾病(がん(悪性新生物)・急性心筋梗塞・脳卒中)保障特約」などの疾病保証が付加される場合は、一部のネット銀行を除き、その保険料が金利に反映され、多くが0.1~0.3%プラスに設定されているケースが多くなっています。
このように「手厚い保障がついて安心!」と喜んでいると、実はその分金利が高くなってしまっていたということになりますから、住宅ローンの条件をよく比較してから選ぶようにしましょう。
三大疾病や七大疾病になったら住宅ローンを払わなくてもいいって本当?
実は、団体信用生命保険の三大疾病特約や七大疾病特約というのは、「三大疾病や七大疾病になったら住宅ローンを払わなくてもいい」わけではありません。
確かに死亡だけでなく、該当する病気によって働くことができなくなった時にマイホームを手放さなくてよくなる、という大きな安心感を得られますが、保険金支払いの対象となる「所定の状態」すなわち「死亡」「就業不能」になったときのみ、住宅ローンを契約した金融機関に保険会社が支払ってくれるというものなのです。
また、条件を満たすことも簡単ではありません。たとえ重度のがんで、放射線治療や抗がん剤を投与の治療を受けながらでも、職場で働き続けているなら、保障対象とはなることがないのです。
団体信用生命保険の疾病保証の種類は大きく分けて三種類!
がん疾病保障付き団体信用生命保険
がんのみを保障対象とした疾病保証です。
三大疾病保障付き団体信用生命保険
三大疾病とされる「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」が対象となります。
七大疾病保障付き団体信用生命保険
7台疾病とされる「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」「高血圧症疾患」「糖尿病」「慢性腎炎」「肝硬変」が対象となります。
結局「団信」?それとも「団信」以外の補償を選んだほうがいい?
40代以降から住宅ローンをスタートする人は検討の余地あり!
年齢が高くなるにつれて三大疾病や七大疾病にかかるリスクも高くなることを考えると、40代以降からの比較的遅い住宅ローンスタートの場合、付加する価値は高いといえます。
しかし、あくまでも住宅ローン免除の保障のみであることを考え合わせると、結局は別途医療保険への加入を考慮する必要があるため、割高になる可能性も高くなっています。そのため、よく考えた上で検討することが必要です。
20代から30代の若い世代は再考の余地あり
まだ若く、三大疾病や七大疾病に該当する疾病にかかる可能性が低い年代は、この疾病保障は、費用対抗効果をあまり感じられないかもしれません。
確かに、ローン残高が多いほど保障額も大きくなるため、ローン開始当時は大きな保証があることに大きな安心が得られるでしょう。しかし、住宅ローン残債が減るほど保証額は減っていきます。つまり、本当に保障が必要となる、がんやその他の疾病リスクが高くなる人生の後半に差し掛かるほどに、保障額が少なくなっていくのです。
また、保障がある期間は、終身では決してありません。基本的に住宅ローン返済期間と同じです。
病気になったとしても保障対象は住宅ローンのみですから、治療費の確保のためには、別の保険を検討する必要があることを覚えておきましょう。
0.3%金利を上乗せしても加入する価値があるかしっかり見極めよう!
いかがでしたか?
「0.3%金利がアップしたとしても、がんにかかれば返済免除があると思ったから申し込んだのに」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、一般的な生命保険とは異なり、団体信用生命保険は普通後から加入することはできません。また、いったん解約すると再度加入が認められなかったり、保障内容の厚い疾病保証付きタイプの団体信用生命保険に加入すると、死亡保障の実の団体信用生命保険には変更できないなど様々な制約があります。
疾病保証付き団体信用生命保険に加入するなら、ローン契約前にしっかりと検討しておきましょう。