住宅ローンの利息ってすごい!知らないと損をするカラクリ
住宅ローンを利用する時、多くの人々が最も気になるのは貸出金利、ひいては総支払額に占める利息総額ではないでしょうか? 実際に住宅ローンの返済シミュレーションを行ったとき、多くの人が驚くのがその利息の高さです。例えば3000万円を35年ローン融資を受けるとすると、年利が2%前後で計算すればその利息総額は約1000万円。最も平均的な借り入れモデルケースであっても、ローン支払い総額の約四分の一を利息が占める計算になるのです。
日本のサラリーマン世帯がマイホームを手に入れる時の一般的な手段は、マイホーム購入時の資金調達に住宅ローンを利用する、というものですが、実はこれほど多額の利息を返済しなければならないわけです。
では、一体どのように利率が決まり、どのようにして計算されて支払っていくことになるのでしょうか。
この記事では、ローンの利率の決まり方、そしてローン返済にまつわるエトセトラについてご説明します。
住宅ローンの利率が決定される仕組み
■住宅ローンの金利は金融機関の「利ザヤ」で決まる
一般の年銀行は、日常業務の中で日銀に資金調達を依頼しますが、当然そこには利息というコストが発生することになります。この時適用される金利を「政策金利」と呼びます。
このコストに「銀行が得る利ザヤ」が出るように金利を上乗せして、東京一部上場に名を連ねる超優良企業を対象にした融資の貸出利率「短期プライムレート」が決定します。
変動金利はこの短プラに平均して「プラス1%」程度、さらに利ザヤを上乗せして決まります。
一方、固定金利は、財務省が主要金融機関に入札させて決定する「新発10年国債利回り」を元に設定されます。
金利動向は金融情勢、ひいては社会情勢を色濃く反映しているのは、これらの要素が絡み合って決定する仕組みあるのです。
■現在の住宅ローン金利の低水準のワケは金融機関の過熱競争
世界全体に見ると、2017年夏時点の金利は上昇局面にありますが、日本は依然として超低金利水準を保ったままになっています。そこには様々なコントロール要因が働いていますが、住宅ローンに限って言えば金融機関の過熱競争が大きく影響しています。
ローン利用者は、今後少子化を迎え減少する一方。少しでも長く確実に利ザヤを収めてくれる住宅ローン利用者を獲得するため、現在日本の金融機関はいまだかつてない低金利合戦を広げています。とはいえ、政策金利がマイナスもしくはゼロに近い現状だからこそ実現できる超低金利であることを忘れないようにしたいですね。
意外と知らない!住宅ローン利息分を返済する流れ
■住宅ローン返済計算は二通り!「元利均等方式」と「元金均等返済」の違い
返済方法には二通りあります。毎月の返済額が一定となる「元利均等方式」と毎月の返済額に占める元金の割合が一定となる「元金均等返済」です。
結論から言えば、当初の負担を軽くして支払総額が若干増えるのが元利均等方式、スタート時の負担は重いけれど総支払額は少なくなるのが元金均等返済と理解するとよいでしょう。
この二つの返済方法の実際の返済における決定的な違いとは、返済スタート時の負担の重さにあります。最初から最後まで毎月、ボーナス月の返済額が変わらない「元利均等方式」は、支払計画が立てやすく、活負担を軽減できるけれど、当初の返済額に利息部分が大きな割合を占めるため元金の減りは鈍くなります。
一方「元金均等返済」は、住宅ローンの元金を均等に返済することになるため、ローン開始当初は借入金額と残債が高い分利息分が非常に高くなり、結果として返済負担が重くなります。
どうしたら住宅ローン利息額を減らせるのか?
■究極の利息軽減策は「一括返済」
利息は融資額に貸出利率をかけて計算されるものです。つまり、余剰資金が出来たら、都度繰り上げ返済を行うことで、元金が減り利息分を減らすことが出来ます。もし、住宅ローン開始後の遠くない未来にまとまった資金を得ることが出来そうなら、その時期にローン残債を一括返済することが出来れば、利息負担を最小限に抑えることになり、究極の利息軽減策といえるでしょう。
■超低金利時代においては全体の収支結果が重要
しかし現在のような低金利で融資を受けられる状況下では、日常生活においての資金繰りに大きな影響が出るほど、無理して返済を急ぐことはかえってリスクにもなります。条件さえ満たせば住宅ローン控除が利用できるうえに、剰余資金を運用で稼ぐこともできます。
住宅ローン返済で利用できる制度をすべてチェックし、なおかつ繰り上げ返済及び一括返済が得策な場合に実行するというスタンスが望ましいでしょう。住宅ローンの返済の進行だけにとらわれず、家計全体によい結果をもたらすチョイスは何かを考えることが重要です。
上手に住宅ローン返済を進めることが、日常生活の家計へのしわ寄せを防ぎ、かつローン利息の軽減を両立できる賢い方法です。